アイアンの選び方

弾道データの見方がある程度わかってきたかと思いますが、これまでの知識は、ドライバーをターゲットとしたものでした。しかし、アイアンもデータ計測する時代ですから、そのあたりも補っていきたいと思います。

アイアン選びの際の一つの基準としては、番手×1000rpmが回転数の目安という考え方です。7番で7000rpmということです。この基準は私的には、スピン重視な選び方だと思っています。もう少し飛距離重視なら番手×1000rpm-1000rpmです。7番で6000rpmということですね。

この基準値が出れば角度などはあまり気にしなくて良いです。角度が立っていてもスピンがかかるようになっているアイアンもあれば、その逆もありますから。これだけで決めてしまうのは浅はかなので、ここから説明することをやるとより長く使えるアイアンを見つけることが出来ると思います。

アイアンは何より現場での性能が重要です。様々なアンジュレーション、ライから的確に打てることが性能の高いアイアンということです。つまり、現場で通用しなければ価値はなく、ただの鉄の芸術品です。つまり、”現場で実際に試す”ということが必要になるわけですね。

幸い、日本にはクラブのレンタルサービスがありますから、そこからレンタルしてコースに持っていき、気になる環境で打ってみることを強くおススメします。もし、「1回コースで使ったくらいじゃ分からない」というのであれば、それは本当に分からないということですから、かっこいいと思う方を買えば良いのです。

ショップ店員の特性と癖

ほとんどの人は、ゴルフショップでクラブを買うと思います。その時に、事前にある程度のデータの見方(これはもう習得済み)と、店員がどういう生き物なのかを知っておく必要があります。私自身、ゴルフショップで5年ほど働いていましたのでその経験も含めてお話していきます。

まず、ショップ店員が何を基準にフィッティングするかをお教えします。ショップ店員はサラリーマンですから、お客さんの満足度が高ければ給料が上がるということはありません。逆に、メーカーからマージンがもらえることはあるので、そのメーカーのクラブを売る方が店員自身にはメリットがあります。

つまり、何を言いたいのかというと、“ショップ店員は売りたいものを売る”ということです。ゴルフショップで働いていても、その人がゴルフに精通している必要など、販売する会社からしたら重要ではありません。ゴルフは下手でもクラブを売れる人であれば良いのです。そういう人の方が会社やメーカーからは良い印象になるためそこを目指す人が多い、とまでは言いませんが一定数いることは知っておきましょう。

「このクラブ飛びますよ」意味:このクラブ(かなり高いレベルの人が同じ条件で10球平均取ったら1~2yの違いが出るくらい)飛びますよ。

クラブの進化は、私たちアマチュアにとって自分のスイング精度との戦いになります。要は、スイング精度の誤差を上回るくらいクラブが進化しているなら飛ぶということです。しかし、多くのアマチュアにとって、1世代程度で何yも差が出ることは稀です。どこかの項目が自分にフィットする方向(ミスやロスを補う方向)に“変更”されただけです。

いままで、スピン量が多くて飛距離をロスしていた人が、たまたま低スピンになった次の世代のドライバーを打って10yも飛ぶようになったというだけのお話。今のヘッドでもシャフトを変えて同じスピン量を出せば、同じヘッドであろうと飛距離は10y伸びます。弾道データってそういうものなんです。

「カスタムシャフトの方が飛びますよ」意味:カスタムシャフトの方が(選択肢が多く、軽量化も出来るため)飛ぶクラブを組める可能性が高いです。

この言葉の深層心理は“単価を上げたい”です。より価格の高いカスタムシャフトのクラブを勧めることで、店舗としての売り上げを確保したいのです。実際、カスタムシャフトは相当な種類を知っている人でなければベストセッティングをサクッと出すことは不可能。その辺の店員レベルでは難しいです。

基本的に、弾道データで勉強した通り、絶対値であるボールスピードを上げることが最も効果的な飛距離アップ方法です。つまり、軽量であればその確率が高くなりますから、言葉を選ばずに言えば「今使っているクラブより軽くなるようなカスタムシャフトを組めば誰でも飛ぶようになる」ということです。物理学的には、硬い方が飛びます(論文も出ています)。打つ人の出力が一定であると仮定すれば、軽い方が高いスピードが出せるので、カスタムシャフトでそういったものを選ぶことで飛距離を伸ばせる可能性は否定しません。

「新しい方が飛びます」意味:そんな古いクラブ使ってないで新しく買いましょうよ。

この言葉の深層心理は“新しいクラブ買ってほしいから今使っているクラブを否定してしまおう”です。新しい方が飛ぶというのは、決して間違いとは言い切れませんが、あまり印象の良い言葉とは思いません。新しいクラブを使う方が、メリットがある場合もあります。というのは、最近のクラブはスイートエリアを広くすることを設計段階で盛り込んでいるからです。
例えば、ゼクシオ11は他社製品とは比べ物にならないほどのスイートエリアの広さで、芯をわざと外して打っても飛距離をあまり損なわないように出来ています。他社製品でも、スイートエリアの広さから利点を受けられる可能性も大いにあります。

「最大の飛距離は新しい方が飛んでいます」意味:新しいクラブ買ってください。

今使っているクラブが10年以上前のモデルでなければ、合う合わないで飛距離が左右されます。新しいから飛んでいるというより、合うから飛んでいるということです。もしかしたら、中古で今より飛ぶクラブだってあるかもしれません。スイング精度が低いアマチュアにとって、最大飛距離で比べることほど危険なことはありません。

たまたま当たったのが新しいドライバーで、買ってみたけど実感するほどの違いが分からないなんて経験をした人もいると思います。

トータル飛距離で比べる店員に注意

最後に、念押しです。室内計測において、トータル距離よりも重要なのはデータとキャリーです。ショップ等でトータル距離ばかり言ってくる人は信用できない可能性が大きいです。トレンドとして、ドライバーはスピンが少なくなる傾向にあります。スピンが少なくなれば、データ上は本番ではありえないようなランが出て飛んでいるなんてこともあり得ますから注意してください。

PAGE TOP